あなたの手で
それから何回も何回も、
たくさん涙を流して、涙声で声が枯れるくらいに名前を呼んだ。
『敬一』
ってずっと…。
愛しいあなたの名前を…。
私は、敬一の痩せこけた頬に優しく触れ、
『敬一、大好きだよ』
と言った。
すると、
「菜…実…」
という、か細い声が聞こえた。
そして、
敬一の瞼が一瞬ピクリと動いた。
私は目を疑った。
何度も涙を拭い、ぼやけた視界をハッキリさせた。
そして、敬一をみると、ゆっくり目を開いていた…。
カーテンのすきまから漏れる光に、
まぶしそうに目を細める。
私は、目が点になった…。
えっ?
ウソでしょう?
私は自分のほっぺたを思いっきりつまんでみた。
かなり、痛い…。