あなたの手で
敬一はゆっくりと、起き上がり、私の方に体を向けた。

そして、私の涙を拭いながら、目を閉じて話し出した。

「今思えば、俺は生死をさまよっていたんだと思う…。
ずっとずっと…。
でも、菜実…お前の声が聞こえたんだ。
お前の気持ちも聞こえた…。

お前が何回も何回も俺の名前を呼んでたのも聞こえた…。

お前…バカだな…声枯れてるだろう?
俺の為に声枯らして…。
でも、
お前のおかげで、戻ってこれた…。
ありがとう。」

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