恋味甘い【短編集】
追いかけてほしいなんて・・・
そんなことないって、
知ってるくせに
追いかけてなんかくれないって。
「ー♪ー♪」
電話が鳴った。
「もしもし?」
「あっもしもし奈々?」
―美咲?
「ねぇ、あのあと、どうなった?」
美咲は俊哉とあたしのことを気にしているみたいだ。
美咲にはちゃんと、報告したいけど…
「―っ」
言葉がでない。
「言いにくい?」
「えっ?うん。でも、大丈夫。」
少し戸惑いはあったけど、全てを話した。
今日、俊哉から告白されたこと。
最初は苦手だった俊哉のことが、いつの間にか、好きになっていたこと。
茜先輩のこと。
ただ、報告しているのに、
いつの間にか
泣いていた。