恋味甘い【短編集】
「んと…」


もう少し素直になれるのなら---



もう一回、一緒にマフラーを作ろうって言えるんだろうね。


もしかしたら、もしかしたらって…こっそり奈々とのマフラーを作っておいた。



「美咲・・・」

「?」


「実は−」



バックから半分だけ縫いかけているマフラーが出てきた。


「やっぱりあたし、美咲と一緒に作りたくて」



−ポロ

「な、奈々ぁ」


涙で前が見えなくなってしまう。

「あたしも、奈々と作りたくて…これ。」



あたしも半分だけ縫いかけのマフラーを見せる。


「美咲…!!」




あたしと奈々は泣きながら抱きあった。


『ごめん』と『ありがとう』をお互いに何回も言い合いながら。


ありがとう。許してくれて。

「奈々・・・」


「なに?」



「あたし、今日俊哉に告白してもいいかな?俊哉から絶ちきるために」

奈々からは少しの沈黙と、戸惑いのあと、


『いいよ』

そう笑顔でかえってきた。
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