さよならが沈んでいく。


背が高くなってきた頃、両手じゃ足りない回数になった会話の頃、花の話。


『俺は、花に例えたら何?』


私は息を吸って、んー、と考えて。それから、


『先輩は、花みたいだなって思います。でも、花言葉とかいろいろ考えたら……わかりません』


すみませんって付け足した私。ありがとうって笑った先輩。


『お世話が必要ってこと?』


茶化して笑った先輩。


『一緒にいて、元気になれるってことです』


目を合わせられない、もどかしい、私。


『そっかぁ』


嬉しいなって言って、彼は立ち上がる。


『またあした』


そうして私たちは、手をふりあって、あしたを望む。


花言葉って、すべてがすべて、いい意味ではなくて。だから、どうしても、先輩の花はわからなかった。


こんなにも元気をくれて、時折胸をぎゅうとしてくる、先輩の花は。

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