【短】一年越しの片思い
2/3・朝・冷えた教室
朝気がつくと、雪が降っていた。
吹き付けるのではなく、優雅に宙を舞う、君みたいな雪。
呼吸をすると、細い糸の張り詰めるような冷たさが喉を通り過ぎ、教室の中とは言えど、白い靄が吐き出た。
轟々と音をたてて燃える旧式ストーブに手をかざすと、柔らかな暖かさに包まれる。
それは、君も同じだった。
寒さで、頬を赤く染めているのが愛らしい。と思う。
登校するには、まだ早い教室で二人きり。
君の乗っている電車が、僕より二本早いのを知って同じ時間に来るようにした。
この笑顔が僕に許されるのなら、早起きなんて苦ではない。
君には、そんなこと一生言えやしないけど。
ふとした瞬間、中庭から、はしゃぐような笑い声が聞こえてきた。
君も、聞こえたようで、会話が途切れ、驚いたように顔をあげる。
中庭を見下ろそうと立ち上がる君に連られて、僕も窓際に寄ってみた。
校章の色からすると2年生だろうか。
男女が、雪の球を投げあっている。
きっと、恋人なのだと思う。
横目に君を見ると、男の方はバスケ部の先輩なのだと教えてくれた。
そんなとき、また僕は気づいてしまう。
君が、その緑のマフラーを目で追っていることに。
その目が恋心と、哀愁を孕んでいることに。
気がつかなくてよかったのに。
君には、好きな人がいて、僕はその相談役で。
そんなこと、はじめから分かっていたつもりだった。
なのに、それを、目の当たりにした今。
吹き付ける雪のように僕の心は掻き乱されて仕方ない。
吹き付けるのではなく、優雅に宙を舞う、君みたいな雪。
呼吸をすると、細い糸の張り詰めるような冷たさが喉を通り過ぎ、教室の中とは言えど、白い靄が吐き出た。
轟々と音をたてて燃える旧式ストーブに手をかざすと、柔らかな暖かさに包まれる。
それは、君も同じだった。
寒さで、頬を赤く染めているのが愛らしい。と思う。
登校するには、まだ早い教室で二人きり。
君の乗っている電車が、僕より二本早いのを知って同じ時間に来るようにした。
この笑顔が僕に許されるのなら、早起きなんて苦ではない。
君には、そんなこと一生言えやしないけど。
ふとした瞬間、中庭から、はしゃぐような笑い声が聞こえてきた。
君も、聞こえたようで、会話が途切れ、驚いたように顔をあげる。
中庭を見下ろそうと立ち上がる君に連られて、僕も窓際に寄ってみた。
校章の色からすると2年生だろうか。
男女が、雪の球を投げあっている。
きっと、恋人なのだと思う。
横目に君を見ると、男の方はバスケ部の先輩なのだと教えてくれた。
そんなとき、また僕は気づいてしまう。
君が、その緑のマフラーを目で追っていることに。
その目が恋心と、哀愁を孕んでいることに。
気がつかなくてよかったのに。
君には、好きな人がいて、僕はその相談役で。
そんなこと、はじめから分かっていたつもりだった。
なのに、それを、目の当たりにした今。
吹き付ける雪のように僕の心は掻き乱されて仕方ない。