【短】一年越しの片思い
6/15・放課後・梅雨入りの下駄箱
自らの下駄箱を閉めただけなのに、まるで、胞子をたっぷり蓄えたキノコをつついたかのような、砂埃が舞った。
ガラスを1枚挟んだ向こうの世界では、さっきまで顔を覗かせていた日輪を、確認できない。
むしろ、白い霧がかかっているように見える。
雨だなんて、全くついていないなと思った。
肩を落として、いつかコンビニで買ったビニール傘を広げようとする。
その時何となく、隣をちらりと見ると、大きく息を吸ってしまった。
四月からクラスの離れてしまった君がいる。
君の左手には、いつもの白いトートバッグが握られていて、右手には部活用のものだろうか。シューズケースがかけられている。
なにより、君は傘を持ってきていないことがすぐに分かった。
立ち尽くす君に、声をかけてみると、君は気が付いたような表情をして、苦笑いをした。
僕の傘に入らないかと提案してみる。
勿論、下心を否定することなんてできないが、それ以上に、濡れて帰るなんてことはして欲しくなかった。
渋った君を丸め込んで、引き寄せ、外へと踏み出す。
僕達の上で騒がしいはずの心音を掻き消すほどの、雨音が聞こえてくるのに、前方には、光のハシゴができていた。
君はそれを見て、綺麗だと微笑む。僕は、そんな君を見て、綺麗だねと愛おしさに浸った。
多分、言っている間に晴れてしまうのだろう。
ふと気になって、君に彼の話を振ると、やっぱり表情とは裏腹な空元気が返ってきた。
なのに、その瞳は未だ報われない恋をしている。
だからまだ、一筋の光芒に淡い思いを隠すように、微笑んでしまう。
ガラスを1枚挟んだ向こうの世界では、さっきまで顔を覗かせていた日輪を、確認できない。
むしろ、白い霧がかかっているように見える。
雨だなんて、全くついていないなと思った。
肩を落として、いつかコンビニで買ったビニール傘を広げようとする。
その時何となく、隣をちらりと見ると、大きく息を吸ってしまった。
四月からクラスの離れてしまった君がいる。
君の左手には、いつもの白いトートバッグが握られていて、右手には部活用のものだろうか。シューズケースがかけられている。
なにより、君は傘を持ってきていないことがすぐに分かった。
立ち尽くす君に、声をかけてみると、君は気が付いたような表情をして、苦笑いをした。
僕の傘に入らないかと提案してみる。
勿論、下心を否定することなんてできないが、それ以上に、濡れて帰るなんてことはして欲しくなかった。
渋った君を丸め込んで、引き寄せ、外へと踏み出す。
僕達の上で騒がしいはずの心音を掻き消すほどの、雨音が聞こえてくるのに、前方には、光のハシゴができていた。
君はそれを見て、綺麗だと微笑む。僕は、そんな君を見て、綺麗だねと愛おしさに浸った。
多分、言っている間に晴れてしまうのだろう。
ふと気になって、君に彼の話を振ると、やっぱり表情とは裏腹な空元気が返ってきた。
なのに、その瞳は未だ報われない恋をしている。
だからまだ、一筋の光芒に淡い思いを隠すように、微笑んでしまう。