月夜見の女王と白銀の騎士
イアンから知らせを受けたのは、一晩明け、太陽がまだ天辺へ昇りきる前だ。
騎士の間にて、近衛騎士隊長らに向かいイアンがきびきびと状況を伝える。
「鴉たちの報告によると、ランベルト大侯爵の屋敷裏、林の奥に建つ教会のファサードには、ダイヤ形のステンドグラスがあり、教会の外壁は様々なモチーフの像で装飾されているとのことだ」
メアリの予知の通りであったことが証明され、しかしそれぞれが反応を示す前にさらに報告が続く。
「また、教会には武装している者たちの出入りが確認された。運び込まれている物資の量からして、兵数は少なくとも二百ほど」
報告書に目を通すイアンに、腕を組むルーカスが眉を顰める。
「二百? その教会はそんなにでかいのか?」
質問に答えたのはオースティンだ。
オースティンが壁に見取り図を広げダガーで固定すると、騎士たちの視線が集まる。
「見ての通り、教会はさほど広くはない。聖堂も収容人数は六十人程度だ」
主聖堂の他に小聖堂と牧師室に告解室、食堂などを合わせても百人が限界だと説明したオースティンは、さらにもう一枚、見取り図を貼り付けた。
「だが、教会はこの古い地下坑道に繋がっている。この坑道、昔は有事の際の脱出経路にもなっていたが、大規模な落盤があり修復が難しいと判断され、もう百年以上使われていない」
「その坑道が、残りの百を収容しているわけか」
納得し頷きながらイザークが口にすると、オースティンは「百どころか千はいける」と情報を加えた。
騎士の間にて、近衛騎士隊長らに向かいイアンがきびきびと状況を伝える。
「鴉たちの報告によると、ランベルト大侯爵の屋敷裏、林の奥に建つ教会のファサードには、ダイヤ形のステンドグラスがあり、教会の外壁は様々なモチーフの像で装飾されているとのことだ」
メアリの予知の通りであったことが証明され、しかしそれぞれが反応を示す前にさらに報告が続く。
「また、教会には武装している者たちの出入りが確認された。運び込まれている物資の量からして、兵数は少なくとも二百ほど」
報告書に目を通すイアンに、腕を組むルーカスが眉を顰める。
「二百? その教会はそんなにでかいのか?」
質問に答えたのはオースティンだ。
オースティンが壁に見取り図を広げダガーで固定すると、騎士たちの視線が集まる。
「見ての通り、教会はさほど広くはない。聖堂も収容人数は六十人程度だ」
主聖堂の他に小聖堂と牧師室に告解室、食堂などを合わせても百人が限界だと説明したオースティンは、さらにもう一枚、見取り図を貼り付けた。
「だが、教会はこの古い地下坑道に繋がっている。この坑道、昔は有事の際の脱出経路にもなっていたが、大規模な落盤があり修復が難しいと判断され、もう百年以上使われていない」
「その坑道が、残りの百を収容しているわけか」
納得し頷きながらイザークが口にすると、オースティンは「百どころか千はいける」と情報を加えた。