月夜見の女王と白銀の騎士
第三章
歯車の死と運命への抵抗
──朦朧とした意識が徐々に覚醒していく。
冷んやりとした空気の中で、メアリはダークブラウンの瞳をゆっくりと動かした。
蝋燭が灯された静かな聖堂。
主祭壇に横たわるメアリを見下ろすステンドグラス。
(……そう、だ、私……)
オッドアイの青年に攫われたのを思い出し、状況を整理する。
最初に目を覚ましたのは、林の中だった。
予知で視た光景であることに気付いたメアリは、自分を担いで運ぶ青年にバレないようペンダントを引き千切り、短い草の茂る地面へと落とした。
その後、メアリがはっきりと意識を取り戻したことが知れると、また薬で眠らされてしまい、気付けばここにいた流れだ。
長らく使われていないと思しき埃っぽい聖堂には自分しかいない。
手足は縄できつく拘束されていて、武器もなく逃げるのは難しいだろう。
(ユリウスが予知の内容を覚えていてくれたら、この教会を探してくれるはず。ペンダントがここにいる証拠になればいいけど、見つけてくれたかな……)
捕らえられてからどれほどの時間が経ったのか。
ステンドグラスの向こうは暗く、夜だということはわかる。
(せっかくユリウスに剣術の稽古をつけてもらったに、大した抵抗もできずに捕まるなんて……本当に情けない)
今頃、ユリウスやイアン、近衛騎士たちや城の皆は心配しているだろう。
またしても攫われてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
護衛を務めていたユリウスも、皆から責められたりしていないか気がかりだ。
だが、悔やんでばかりいても状況は変わらない。
脱出するため、まずは縄を切るものはないか探さなければ。
冷んやりとした空気の中で、メアリはダークブラウンの瞳をゆっくりと動かした。
蝋燭が灯された静かな聖堂。
主祭壇に横たわるメアリを見下ろすステンドグラス。
(……そう、だ、私……)
オッドアイの青年に攫われたのを思い出し、状況を整理する。
最初に目を覚ましたのは、林の中だった。
予知で視た光景であることに気付いたメアリは、自分を担いで運ぶ青年にバレないようペンダントを引き千切り、短い草の茂る地面へと落とした。
その後、メアリがはっきりと意識を取り戻したことが知れると、また薬で眠らされてしまい、気付けばここにいた流れだ。
長らく使われていないと思しき埃っぽい聖堂には自分しかいない。
手足は縄できつく拘束されていて、武器もなく逃げるのは難しいだろう。
(ユリウスが予知の内容を覚えていてくれたら、この教会を探してくれるはず。ペンダントがここにいる証拠になればいいけど、見つけてくれたかな……)
捕らえられてからどれほどの時間が経ったのか。
ステンドグラスの向こうは暗く、夜だということはわかる。
(せっかくユリウスに剣術の稽古をつけてもらったに、大した抵抗もできずに捕まるなんて……本当に情けない)
今頃、ユリウスやイアン、近衛騎士たちや城の皆は心配しているだろう。
またしても攫われてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
護衛を務めていたユリウスも、皆から責められたりしていないか気がかりだ。
だが、悔やんでばかりいても状況は変わらない。
脱出するため、まずは縄を切るものはないか探さなければ。