月夜見の女王と白銀の騎士
──そうしてイアンの助言によりヴェロニカに伯爵の爵位を授与したメアリは、強力な味方を得た。
こじれていたという言い方をしたメアリにライルは笑う。
「まあ、確かにこじれていたか。主に恋愛絡みで」
チラリとライルの視線がユリウスを捉える。
「今度は俺が、本気でこじらせても構わないか?」
「えっ」と驚くメアリの後ろに立つユリウスの片眉がピクリと上がり、穏やかに見守っていた笑顔が凍る。
そんなユリウスの様子にライルはくつくつと笑って、姿勢を正すとメアリに一礼した。
「ではメアリ女王陛下。またお会いできる日まで」
「はい。その日を楽しみにしていますね」
メアリが笑顔で伝えると、ライルは「またな」とウインクを残し、フィーユと共に船へ乗り込んだ。
風が吹いて、フォレスタットの紋章が鮮やかに広がる。
碇が上がり、波が立って。
メアリは風に靡く自分の髪をそっと押さえると、ライルへの感謝を胸に、隣国へと出航する大型船を見送った。
こじれていたという言い方をしたメアリにライルは笑う。
「まあ、確かにこじれていたか。主に恋愛絡みで」
チラリとライルの視線がユリウスを捉える。
「今度は俺が、本気でこじらせても構わないか?」
「えっ」と驚くメアリの後ろに立つユリウスの片眉がピクリと上がり、穏やかに見守っていた笑顔が凍る。
そんなユリウスの様子にライルはくつくつと笑って、姿勢を正すとメアリに一礼した。
「ではメアリ女王陛下。またお会いできる日まで」
「はい。その日を楽しみにしていますね」
メアリが笑顔で伝えると、ライルは「またな」とウインクを残し、フィーユと共に船へ乗り込んだ。
風が吹いて、フォレスタットの紋章が鮮やかに広がる。
碇が上がり、波が立って。
メアリは風に靡く自分の髪をそっと押さえると、ライルへの感謝を胸に、隣国へと出航する大型船を見送った。