月夜見の女王と白銀の騎士
その夜──。

「メアリ、俺を見て」

 人払いされた女王の部屋。

 大きなベッドに組み敷かれたメアリは、嫉妬の炎をチラつかせるユリウスを一身に受け止めていた。

 もう何度、ユリウスによって甘い高みへ昇ったのか。

 呼吸を熱く乱すメアリの白い胸元や内腿には、ユリウスによって散らされた赤い所有印が浮かんでいる。
 ユリウスはそのひとつひとつを指でなぞりながら、ゆっくりと覆いかぶさった。

「君をこうして抱いて、独り占めにできるのは俺だけだ」

 愛してると囁かれ、深く口づけられたアメリは、あなたのものだと告げるように首筋にしがみつく。

 奥へ奥へと打ち付けられるのは、狂おしいほどの愛情。

 メアリを襲う甘い衝撃にベッドが軋む。
 ユリウスの名を呼びながらその激しい想いを必死に傍受するメアリは、たまらず背をのけ反らせた。

 共に幸福の果てに昇りつめ、充足感に満たされる。
 脱力したユリウスが覆いかぶさる重みが愛おしくて、メアリは逞しい背を抱き締めて撫でた。
 ユリウスはその優しさに答えるように、メアリの頬に口づけを落とす。

「こうして君を抱くたびに、愛しさが募って仕方ない……」

「それは私も同じよユリウス……離れたくないと願ってしまう」

 いっそひとつに溶けてしまえたらいいのにと、メアリは心の中でひとりごちる。
 すると、ユリウスも同じことを思っていたようでメアリに口づけた。

「このままひとつになってしまえたら最高なのに……なんて、無理なのは百も承知だけど、離れることなく好きなだけ君とこうしている時間がもっと増えたらいいな」

 微笑んで、ユリウスは何度も何度もメアリに口づける。
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