月夜見の女王と白銀の騎士
やがて、名残惜しそうに唇を離すと、ユリウスはメアリの頬を指で撫でた。

「メアリ……今すぐでなくとも構わないから、君を正式に俺のものにしたい」

 真剣な、しかし希う眼差しで告げられた言葉に、メアリは瞬きを繰り返す。

「……それって」

「俺と、結婚してほしい」

 幸福に満ち溢れた響きに、メアリの双眸が歓喜に染まる。

「嬉しい……!」

 極まってユリウスに勢いよく抱き付いたメアリを、ユリウスは愛しむように抱き締め返したまま横になった。

「まだ、俺を良く思っていない国民もいるだろうし、ヴラフォスとの関係が良好であることを示してからにはなるだろうけど」

「そうね。でも、白夜の神殿が平和の象徴になるわ。だからきっと大丈夫」

 まだ動き始めたばかりだが、ユリウスと結婚できるのも重なり、完成するのが今から待ち遠しい。
 ただ、結婚については双方の国で許可を取る必要はあるけれど、今のままであれば特に問題もないはずだ。

 問題ないのだが……ひとつ、メアリの心に引っかかっていることがある。

 自分の血を必要としているネアデーア教団の存在だ。

 三国が協力して動けばすぐに片が付くかもしれないが、なぜだか無性に不安になる。
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