月夜見の女王と白銀の騎士
メアリは膝ですやすやと眠るフィーユの背に手を添えたまま、円卓を囲む皆に視線を移しながら話す。
「これは、ヴラフォスのルシアン皇帝陛下と話した折に浮かんだアイデアなのですが、今後、三国の会議の場となる施設を用意するのはどうでしょうか」
ルシアンの話によると、現在はヴラフォスの領土でありフォンタナとの国境にあるベルグは、二百年ほど前までどこの国にも属さないデーア族という民族の町だったらしい。
ヴラフォスの地下書庫でルシアンが見つけたという古い文献には、デーア族が類まれなる力を持っており、神の末裔として神聖視され崇められていたと記されていた。
類まれなる力といえば、メアリとティオ族の存在だ。
故に、モデストの企みを知っていたルシアンは、ティオ族に連なるメアリにデーア族の存在があったことを語った。
また、デーア族がティオ族に関わっているかは定かではないが、デーア族の町には【白夜の神殿】という場が設けられていたようで、各国の同盟会議が開かれていたことが明記されていたという。
話を聞いたメアリは、ルシアンに相談した。
『ヴラフォスとの同盟が再び成った今、その白夜の神殿を復活させて、三国の同盟会議の場にするのはどうでしょう?』
永久に続く平和の象徴にもなるのではと続けると、ルシアンは『いいねぇ』と中性的な美しい顔を綻ばせた。
現在、ベルグに神殿は残っておらず、しかし土地は確保できるとのことで、再びその場所に建設するならば、ヴラフォスも協力を惜しまないとルシアンは約束してくれたのだ。
自らが持つ予知の力とティオ族については伏せつつ説明すると、大臣たちは皆、異論はなさそうに頷いた。
「これは、ヴラフォスのルシアン皇帝陛下と話した折に浮かんだアイデアなのですが、今後、三国の会議の場となる施設を用意するのはどうでしょうか」
ルシアンの話によると、現在はヴラフォスの領土でありフォンタナとの国境にあるベルグは、二百年ほど前までどこの国にも属さないデーア族という民族の町だったらしい。
ヴラフォスの地下書庫でルシアンが見つけたという古い文献には、デーア族が類まれなる力を持っており、神の末裔として神聖視され崇められていたと記されていた。
類まれなる力といえば、メアリとティオ族の存在だ。
故に、モデストの企みを知っていたルシアンは、ティオ族に連なるメアリにデーア族の存在があったことを語った。
また、デーア族がティオ族に関わっているかは定かではないが、デーア族の町には【白夜の神殿】という場が設けられていたようで、各国の同盟会議が開かれていたことが明記されていたという。
話を聞いたメアリは、ルシアンに相談した。
『ヴラフォスとの同盟が再び成った今、その白夜の神殿を復活させて、三国の同盟会議の場にするのはどうでしょう?』
永久に続く平和の象徴にもなるのではと続けると、ルシアンは『いいねぇ』と中性的な美しい顔を綻ばせた。
現在、ベルグに神殿は残っておらず、しかし土地は確保できるとのことで、再びその場所に建設するならば、ヴラフォスも協力を惜しまないとルシアンは約束してくれたのだ。
自らが持つ予知の力とティオ族については伏せつつ説明すると、大臣たちは皆、異論はなさそうに頷いた。