月夜見の女王と白銀の騎士
ふたりの男がユリウス目掛けて踏み出したのを見て、メアリは「ユリウス!」と短剣を抜き取って差し出す。
ちらりと横顔でメアリを見たユリウスは、一歩下がって後ろ手に短剣を受け取ると、素早く投げ、ふたりのうち構えの甘い者の足に刺して動きを封じた。
続いて、斬りかかるもうひとりの剣を勢いよく払うようにして弾き落とし、脇から踏み込んできた三人目を振り向きざまに斬り伏せる。
「ありがとう、メアリ!」
礼を述べながら、斧を振り回すならず者に剣を突き刺した。
ユリウスにとって敵はさほど強くない。
しかしその数が多く、メアリは自分が足手まといになっていることは重々承知していた。
(私を庇いながらじゃユリウスは動きを制限されて力を最大限に発揮できない。かといって、私の力じゃ自分の身を守るのが精一杯)
力になれない自分の不甲斐なさにメアリが唇を噛みしめた時だ。
「加勢が必要かい?」
ならず者たちの背後から、カナリアの羽根色に似た黄色い外套をはためかせて歩くライルが現れた。
振り返ったならず者のリーダーが盛大に舌打ちする。
「俺たちに加勢ってわけじゃなさそうだな」
「当たり前だろ。可憐な姫君のピンチを救うのが英雄のセオリーってね」
余裕の笑みを浮かべながら、ライルはサーベルを引き抜くと地面を蹴った。
ちらりと横顔でメアリを見たユリウスは、一歩下がって後ろ手に短剣を受け取ると、素早く投げ、ふたりのうち構えの甘い者の足に刺して動きを封じた。
続いて、斬りかかるもうひとりの剣を勢いよく払うようにして弾き落とし、脇から踏み込んできた三人目を振り向きざまに斬り伏せる。
「ありがとう、メアリ!」
礼を述べながら、斧を振り回すならず者に剣を突き刺した。
ユリウスにとって敵はさほど強くない。
しかしその数が多く、メアリは自分が足手まといになっていることは重々承知していた。
(私を庇いながらじゃユリウスは動きを制限されて力を最大限に発揮できない。かといって、私の力じゃ自分の身を守るのが精一杯)
力になれない自分の不甲斐なさにメアリが唇を噛みしめた時だ。
「加勢が必要かい?」
ならず者たちの背後から、カナリアの羽根色に似た黄色い外套をはためかせて歩くライルが現れた。
振り返ったならず者のリーダーが盛大に舌打ちする。
「俺たちに加勢ってわけじゃなさそうだな」
「当たり前だろ。可憐な姫君のピンチを救うのが英雄のセオリーってね」
余裕の笑みを浮かべながら、ライルはサーベルを引き抜くと地面を蹴った。