月夜見の女王と白銀の騎士
 試合が全て終了したのは、太陽が天辺を過ぎた頃だ。
 剣、槍、弓等、それぞれ得意な武器を駆使しての戦いはどれも見応えがあり、メアリから見れば全員合格でもいいのではというレベルの素晴らしい技術だった。
 だがしかし、試合中に聞いたユリウスの説明によると、毎年三名ほどしか合格者は出ないとのこと。
 ウィルが受かった時も、同期はひとりしかいないと話していたことを思い出したメアリは、近衛騎士団に所属している者たちがいかに凄腕であるかを改めて知る。

(確かに、近衛騎士団の皆は強いものね。モデストとの戦いでは、怪我はしたけれど誰も欠けることはなかったし)

 頼もしき騎士たちに守られていることに感謝の念を抱きながら、女王用に用意された控室に戻ると、別室からやってききたイアンより書類を見せられた。

「オースティンから預かりました。今回試合に臨んだ候補者たちのプロフィールと二次試験までの評価です」

 受け取ったメアリがさらっと目を通す。

「彼らの合否は夕刻から騎士の間で行われる審査会で決まります。その前に、陛下の評価もまとめておいてください。評価用紙は城に戻り次第執務室にお届けします」

「わかりました」

「ユリウス、陛下を馬車へ。私はライル王子と少し話をしてくる」

「承知しました」

 ユリウスが小さく頭を下げると、イアンは踵を返して控室を出ていった。
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