きっとこれは眠れない恋の証明。
「何言ってるんだ。ストーカーに遭ってるんだぞ」
「ストーカーかどうか分かんないよ、ただの嫌がらせかもしれないし。それにストーカーに遭ってるからって仕事休んでたら終わりが見えなくてキリがないよ」
「ストーカーかどうかもまだ分からないから大人しくしてろって言ってるんだ」
そう淡々と、けれども力強い京の声にこれは何を言っても聞いてもらえないと肩を落とす。
…京が昔から心配症で過保護だという事は、私が一番よくわかっている。
「いいか、明日事務所には俺一人で行く。音源は事務所からお前のパソコンに送っておく。だから絶対にお前は家から出るなよ」
そう怖いと思えるくらいに強く念を圧され、気がつけば私は頷いていた。
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そして迎えた翌日。
本当にいつものように京は私を迎えに来てはくれなかった。封筒も警察に持っていくからといって京が持って行ってしまっている。
──絶対にお前は家から出るなよ。
そう言われているのにこっそり事務所へ仕事に行ったりしたら、京はきっと怒るだろうなぁとため息をついた。