きっとこれは眠れない恋の証明。
「桜。結構遅れたけど、芝波プロダクション社長就任おめでとう」
「え…?」
京のいきなりの社長就任おめでとう発言にポカンとする。
そんな私が持っているのグラスに京が自分のグラスを小さく音をたてて当てた。
「パーティー、中止になっちゃったからな。かわりにこうして二人で祝うのも良いだろ。就任したばっかの頃は雪至さん倒れてそれどころじゃなくて、改まってお祝いもしてやれてなかったし」
そう言って京が優しく微笑んだ。
…そうだったんだ。
いきなりドレスに着替えろって言われたのも、
普段は食卓に並ばない瓶に入ったジュースも、
いつも以上に豪華な食事も…
私のお祝いのためだったんだ。
──どうしよう、凄く嬉しい。
「京…ありがとう。最高のパーティーだよ」
「パーティーでは無いけどな、二人だけだし」
「えー、でも私ドレスだし、京も仕事帰りでスーツだし。それに二人じゃなくて、クラちゃんもいる」
「は?」
ポカンとする京に、そばのローテーブルに座らせておいたクラちゃんの方を指差して見せると、またいつものように呆れたようなため息をつかれた。
「名前なんてつけてたのか。…それにクラちゃんてもしかして」
「うん。倉掛君に貰ったからクラちゃんってつけたの、可愛いでしょ」
「安直だな」