きっとこれは眠れない恋の証明。
可愛いからいいの、といってピザを頬張った。
「あのね、京」
料理を半分ほど食べ終えたところでそう切り出す。
真剣な顔つきになった私を見て、京が持っていたフォークを置いた。
「明日からの事なんだけど…私、前みたいにまた事務所に顔を出して仕事したくて。進めなきゃいけない企画もあるし」
「……。」
案の定難しい顔をして黙る京に続ける。
「京が私の事心配してくれてるのはわかるの。
でも、家で一人きりでいるより京の側にいる方が安心できるっていうか…」
私が一番安心出来る時。それは京がとなりにいる時間だ。
家の中に一人で篭っているのが一番安全だという事はわかっているが、それでも一人きりでいるのは心細かった。
それに、終わりの見えない悪戯に怯えていて仕事を疎かにしたくない。私は父から受け継いだプロダクションを背負う社長なのだ。
「でも、こんなメールまで来てるんだぞ。警察にも届けたけど、だからといってずっと桜を守ってくれる訳じゃない」
じゃあ京が私を守ってよ。
喉までつるりと滑り出てしまいそうになったそんな言葉は、あまりにも虫が良すぎると直前で堪えた。