きっとこれは眠れない恋の証明。
「でも、私の仕事の邪魔をする事が犯人の狙いかもしれない。私、思う壺にはまりたくない」
そう強く言い返すと、京が少しだけ怯んだように黙った。
──押すなら今。
「京、私に反対しないで。いつも通り仕事をさせて」
自分の中で、
最後の手段として取っておいた切り札。
私は芝波プロダクションの社長。
だから言える事がある。
「これは、社長命令です」
私のそんな発言に、京が驚いたようにして目を見張った。──そして、肩をすくめながら諦めたように目を伏せ息を吐く。そして、その口角の端が小さく上がった。
「社長様の命令には逆らえないな。
…分かった。但し、外に出たらなるべく俺の側を離れるなよ。お前の事は俺が守ってやる」