きっとこれは眠れない恋の証明。
unisonの新曲披露とそのデビューは、事件の事もあり倉掛君の傷が完璧に治るまで延期する事となった。
暴行事件の事は世間にも公になり、世間がその被害者である倉掛宗次郎を気にかけた。
結果として、unisonがデビュー前にまた一段と世間の注目を集めた事は言うまでもなかった。
そして、京はあれからずっとピリピリと気を立てている。
1ヶ月も時間が経てばそれも風化するかと思えば、その逆だった。
時間が経てば経つほど、何も仕掛けられない時間が続くほどに、京は神経を尖らせているような気がする。
今までは京にご飯を作って貰い、それを二人で食べ終えたら京は自分の家へ帰る。というのが日常だったが、私を一人にする事を京は一番のタブーとしているようで、最近はずっと家に寝泊まりして貰っている。
「…おい、何してる」
朝。
珍しく京より早く目が覚め、一階のエントランスの郵便受けに新聞を取りに行こうとすると、そんな京の低い声に呼び止められた。
「あ…京、起きてたの?おはよう…」
「…何してるって聞いてるんだ」