きっとこれは眠れない恋の証明。

ガチャリ、と部屋のドアが閉まる音が鳴るのと同時に、急にふっと力がぬけたようにその場にへたり込んだ。

…あんな風に取り乱しているような京を初めて見た。

いつも、冷静で落ち着いている京が、あんなに目を剥いて怖い顔をして。

京にあんな顔をさせたのは私だ。
全部全部私のせいだ。

ここ1ヶ月、私の身には何も起こらなかったけれど、決して短くなかったそんな時間は確実に京の精神を蝕んでいた。


犯人の狙いは何なのだろう。

私から社長の座を奪う事?
私を苦しめる事?私の命を奪う事?


社長の椅子なんていらない。欲しいのなら今すぐあげるから。私を苦しめたいなら私に直接手をかけてくれればいい。抵抗しないから。


──…だから、もうこれ以上私の周りの人達が、
京が、私なんかの為に苦しむのはもう嫌だ。










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