きっとこれは眠れない恋の証明。
proof 9

黒瀬京side



東京から埼玉までは車で向かう事にした。

埼玉までの道を車で走らせながら、祖母の事を思い出す。確か2ヶ月前に92歳になったばかりだった。

長生きをしてくれたと思った。学生時代は母と一緒によく埼玉に帰省しており、その度に祖母にはよくお世話になった。
ただ、社会人になってからは仕事ばかりに夢中になり埼玉へ帰り祖母に顔を出すような事はほとんどなくなっていた。

もっと沢山会いに行っておけばよかった。
いつかはこうなるとわかっていなかった訳ではないのに。

そう、心の中で呟いた時だった。

助手席に寝かせておいた鞄の中のスマホが着信の音を鳴らした。

スマホと車のカーナビをBluetoothで接続させていたので、やがてそれはカーナビに連動し車のスピーカーから着信音が流れた。


(……羽水社長?)


着信相手を確認し、カーナビに表示された電話をとるボタンを押し、羽水社長からの電話に出る。


『もしもし黒瀬さん?…どうやら芝波さんが家にいないみたいなんです』


羽水社長からの電話の内容に、一瞬思考回路が停止しかけた。

(は……?)

これ以上ないほど目を見開きながら、頭はこの上ないほど動揺していたが体は冷静で、急いで車をUターンさせて東京へと方向転換をした。


「それは本当ですか?桜に連絡は…?」

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