きっとこれは眠れない恋の証明。
『熊のぬいぐるみ…?あぁ、早瀬、それだ。持ってきてくれ。黒瀬さん、見つけました』
「それを調べてもらえますか?盗聴器か、カメラが仕掛けられていないかどうか」
『はい』
このタイミングの良さ。
俺が桜から離れるとわかっていて、なおかつ羽水社長が12時にここへ来る。つまり12時まで桜が一人きりだと把握していたのだろう。今までずっと不気味なくらい何も仕掛けてこなかったのは、ずっとこのタイミングを見計らっていたからなのだ。
そして、そのタイミングを見計らうには、桜の家の中での会話を全部盗聴されていたとしか考えられない。
『…黒瀬さん、見つけました。
ぬいぐるみの中に盗聴器が』
やっぱり。黒だ。
桜が犯人だとは鼻から疑わず、
そして夢にも思わない相手。
そして、桜にあのぬいぐるみをくれたのは。
───倉掛宗次郎。