きっとこれは眠れない恋の証明。

こんな状況なのに、京には手をかけないという倉掛君の言葉を聞いて、安心している自分に自分でも驚いた。

…良かった。

きっと京は私を助けにここへ来てくれる。

でも、京がこの人に殺される事はない。
それだけで、ほっとするように肩の力が抜けた。


「…なんだあんた、なんでそんな安堵したような顔するんだ。俺はあんたを殺すって言ってんのに。俺が、黒瀬は殺さないって言ったからか?自分の事より相手の事ってか?

そんなにお互いを大事に思ってるなら何故何も言わないんだ、逃げるんだ。

そういう所だよ…あんた達のそういう所が大嫌いなんだ、虫唾が走る…っ」


そう叫んで、倉掛君は私の首を両手で掴んだ。
そのままギリギリと力強く締め付けられる。


「ぁあ……っ…あっ…」


息が出来ない。苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい!

やがて、苦しさが絶頂になると次第に意識が薄れていくのだと分かった。

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