きっとこれは眠れない恋の証明。
そして、意識を手放す寸前で手の力を緩められ、急に呼吸を許された喉は激しく空気を吸い込もうとし、おかしくなってしまいそうな程に激しく咳き込んだ。
「げほっ…ごほっ…げほっ…」
「どーよ。俺のダミーの暴行談を実際に手にかけられる気分は?」
「あ…っっ…あ…」
再び喉を強く締めつけられた時だった。
遠のく意識の中、車の音が近づいてくる音を耳がはっきりと拾った。
(京…?)
その激しい車の音は家の側のぎりぎりまで近づいて。
やがて、窓ガラスを破る音が耳を刺した。
──突き破ったのだ、窓を。
「桜っ…!!」
耳をつんざくような鋭い京の声が私を呼ぶ。
京の声を聞いた瞬間、堰を切ったように涙が両目から溢れた。
京!怖い、苦しい、助けて…!!
そう心の中で精一杯京を呼んだ時、倉掛君の手が私を解放した。
「げほっ…ごほっ…」