きっとこれは眠れない恋の証明。


「桜っ、何処にいる!?返事してくれ…!」


そんな京の叫びに、私は返事が出来なかった。
声が、出ない。叫びたいのに、どうしても、喉が壊れたように、声が出ない!

そう絶望した時だった。

「…作戦変更だ」

倉掛君が、ゾクっとするほど低い声でそう呟く。

(作戦変更…?)

そして、倉掛君がパーカーのポケットに手を突っ込む。そこから取り出したのは──…

映画やドラマでしか見た事が無い。
でもそれは、確かに銃だった。


そして、倉掛君は不気味に唇の端を吊り上げて笑った後、叫んだ。



「黒瀬くん!君のお姫様はここだよ!」


「……っ」



そんな──…まさか。

作戦変更って、もしかして。


待って、駄目。…来ちゃ駄目!


「京…げほっ、だ、駄目、来ないで…」

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