きっとこれは眠れない恋の証明。

嬉しかったです。ただ嬉しかった。

そして、砂川さんの事を最初は少し父に似ていると思っていましたが、やがて二人は全然似ていないという事に気がつきました。

性格も雰囲気も何もかも違う。

最初は義父さんに似ていると思ったから近づいたのに、僕は次第に砂川さん自身に惹かれていくようになりました。

僕は、砂川さんに出会って初めて人の優しさというものに触れました。

義父さんは、僕の身体を何度も求めてはくれたけど、優しさや愛をくれた事は一度も無かったのだと、砂川さんに会って気がつきました。



僕は、義父さんにとって、ただの男娼で愛玩具にすぎなかったのだと、やっと気がついたんです。



でも、砂川さんは僕に優しくはしてくれても欲情はしてくれなかった。

僕は砂川さんの恋愛対象には入れない。
砂川さんはストレートだ。


最初はそれが辛くて辛くて仕方が無かった。
どんなに好きでも、僕は砂川さんと恋愛するための土俵の上にすら立てない。

絶対に報われないとわかっている恋に身を焦がすのは、とても辛いものだという事を初めて知ったんです。

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