きっとこれは眠れない恋の証明。
自分でそれらしい切り傷をつくり、
跡もきちんと残るよう自分で自分の首を絞めた。
服もはだけさせて、見るに耐えない姿の自分をつくるのは意外と簡単でした。
演技なんて今までやった事なかったけど、初めてにしては上出来だったと自分でも思いましたよ。
黒瀬が砂川さんを呼んだのは想定外でしたけど、嬉しかった。僕を心配して必死に安心させようとしてくれていたあの日の砂川さんの事を僕は忘れません。
あの時だけは…少し、心が満たされているような気がしました。
でも馬鹿だったな、憎しみにかられてこんな事をしでかしたせいで、きっと僕は商品としても砂川さんに愛される事はない。
むしろその逆だろうな。
黒瀬京を撃ったとき、そう気がつきました。
正気に戻ったんですよ。
でももう全部遅かった。
気づいた時にはもう、これです。
砂川さんだけが自分の全てでした。
でも、自分の運命はこの世に生を受けた時からきっと呪われているんです。
僕は生き方を間違えた。
義父さんからの欲情を僕への愛情なのだと履き違えたあの日から。
ごめんなさい。
僕はきっと、誰かを好きになってはいけない人間だったんです」