きっとこれは眠れない恋の証明。


あまりに受け入れ難いそんな事実は、やがて涙へと姿を変え私の頬をつたった。

自分の力で立っていられなくなり、その度に羽水社長や早瀬さんに体を支えられた。


「薬…私…あの薬が欲しい…」


倉掛君に針で打たれたあの薬。
何も考えず、何も感じずにただ人形のようになれるあの薬を、また首に打って欲しい。

だってこんな、私には耐えられない。

そう言ってベッドの上で眠っている京の手を握り泣きじゃくる私を、羽水社長は抱きしめた。


「…ごめん芝波さん。間に合わなくてごめん。
君の大切な人をこんな風にしてしまってごめん」


耳元でそう何度も何度も羽水社長にごめんと謝られた。


──違う。

羽水社長が謝ることなんて何もない。

悪いのは…全部私なのだ。

倉掛君の事を信じて疑わず、京のいいつけを破ったのは私。

私が…私が。

京は私のせいで。

京が私と出会ったせいで、こんな。
京の人生に私が交わる事が無ければ、こんな事には。

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