きっとこれは眠れない恋の証明。

「芝波さん。今から飯でも行こうか」

「……。」


そんな羽水社長の言葉にまた黙ったままでいると、羽水社長にそっと腕を掴まれる。そのまま優しく引かれて立ち上がった。



✳︎



「…京の料理」


羽水社長の車の中で、何が食べたいかと尋ねられ不意に漏れた自分の言葉にハッとして口をおさえる。

──私今、何を。


「ごめんなさいっ、今のは違くて…っ」

「いや、素直で良いと思う」


私のことを心配してくれている羽水社長に私は酷い事を言ったにも関わらず、羽水社長は困った顔をするわけでもなく小さく声を上げてクスクスと笑った。


「じゃあ、苦手な食べ物とかある?」

「いえ、特には…」


そう答えると、羽水社長はお勧めのお店だというイタリアンのレストランに連れて行ってくれた。

今まで敷居が高いような気がして行ったことは無かったけれど、よくグルメ雑誌なんかで取り上げられたりしている有名なお店だ。

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