きっとこれは眠れない恋の証明。
最初から私をここに連れてきてくれると予定していた訳では無さそうだし、こんなに有名で高そうなレストラン、予約せずにいきなり入っちゃって大丈夫なのかな…。
内心でそんな事を心配しながらレストランに入ると、レストランのスタッフさんはみんなどうやら羽水社長と顔見知りなようで、感じのよい男性のスタッフさんが羽水社長に頭を下げ、コートとバッグを預かってくれた後に窓際の席に案内してくれた。
…羽水社長、このレストランの常連さん?
そんな心の声が顔に出ていたのか、羽水社長がすぐに答えてくれた。
「ここ、姉さんが経営してるレストランだから、学生の頃からよく来てたんだ。予約せずにいきなり来るなって昔は怒られてたんだけど、最近は諦めたみたい。満席なんて事滅多に無いしね」
「お姉さんが…」
だからレストランのスタッフさん達と顔見知りな感じがしたんだなと納得する。
それにしても、お姉さんは有名レストランの経営者で、弟である羽水社長はあの羽水プロダクションの社長さんで…ってすごい家族だなぁと内心で呟く。