きっとこれは眠れない恋の証明。


「芝波さん、食欲ある?」

「…あんまりないです」


こんな素敵なレストランにまで連れてきて貰ってその答えは言い出し辛かったが、正直に答える。

最近あまり食べてないのに?と重ねて質問され頷いたが、羽水社長は驚く様子もなく小さく頷いた。

病室でも開口一番痩せたと言われたし、そんなにげっそりとして見えるのだろうか、今の私は。


「軽いものなら食べられるかな、リゾットとかどう?」

「それなら、食べられそうです」


前に無理矢理きちんとした食事をとろうとしてハンバーグを食べたら思いの外重くてすぐに戻してしまった。

リゾットならと頷くと、羽水社長はすぐにスタッフさんを呼んで注文してくれた。


「芝波さん、何かあるとすぐに食事とらなくなるんだって?」


「あ…そうなんです」


きっと京から聞いたんだろうなと内心で察した。
京と羽水社長がいつの頃からかよく連絡をとるようになっていたのを知っている。


羽水社長がこまめに連絡をくれたり、こうやって私の事を心配して食事に連れてきてくれたりするのは、ひょっとして京から"桜の事を頼む"なんて言われているから、だったりするのだろうか。

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