きっとこれは眠れない恋の証明。


日どりはいつだったかなと聞かれても、私が就任してからはパーティーはまだ企画していないし、正直パーティーの開催に乗り気ではない。
絶対開かないといけないものでもないし、何しろ大変だ。

「お父さん、今年はパーティーはもう…」

「社長就任パーティーの開催は5月20日を予定しております」

開催されるはずのないパーティーの日どりをサラりと答えた京の方を驚いて振り向く。

え?しかも、社長就任パーティーって…。

「ちょっと京、何言って…え?」

「きっとお前に言っても社長就任パーティーなんて開かないと言うだろうと思って、最初から黒瀬君に桜に内緒で企画を進めてもらうように頼んでいたんだよ」

「ええっ!?」

身に覚えのないところで自分が主役のパーティーの計画が京によって進められていたことを知り、責めるようにして京の目を見るとさりげなく私の視線から逃れるように京が目をそらす。

「俺も前任の社長として出席するから、よろしくな」

「はい。お体には障りませんか?」

「大丈夫大丈夫。楽しい事を我慢するほうが体に良くないからな」

そう言ってお父さんは以前と変わらず陽気に笑った。シワがいっぱいの優しい笑顔はいつも変わらない。

そんな事を言いにくるためにわざわざ事務所までやって来たのかと突っ込む気力ももう無かった。








「京っ、パーティーの事なんて私聞いてないよ」

見たい将棋の番組があるからと言ってそそくさとお父さんが家に帰ってしまってから、京と二人きりになったところでそう問い詰める。
< 19 / 233 >

この作品をシェア

pagetop