きっとこれは眠れない恋の証明。
「悪い。言ったら桜はきっと反対するだろうからって雪至さんが」
「お父さんが上司だったのは昔の話でしょう。
京は今私の秘書なんだから、お父さんに従順でどうするの…っ」
「そうだな。俺が悪かった、ごめん」
「………。」
そう淡々と言われても全く謝られている気がしない。というかただの芝波プロダクションのパーティーならともかく、社長就任パーティーだなんて、私が主役じゃないかと思わず頭を抱える。
別段人見知りだという訳でもないけれど、それでも人前に出たり、目立ったりするような事は苦手だ。
「そうだ、今からでも、社長就任パーティーじゃなくて、いつも通りのパーティーに変更して…」
「あぁ悪い。もうその名目で招待状を配ってる」
「そんな…」
もう全ては手遅れだと言わんばかりの京の表情に、思わず泣き出しそうになってしまった。
しかも5月20日だなんて、もうあまり日もない。
「今ね、すごくお父さんと京に嵌められた気分」
「まぁ間違ってはいないな」
そう言って京が意地悪な顔をして小さく笑った。