きっとこれは眠れない恋の証明。


そんな早瀬ちゃんの言葉に首を振る。
…それは違う。そうじゃなくって。


「私だって、もっとずっと早瀬ちゃんに側にいて欲しい。

でもそんな私の我儘で、いつまでも早瀬ちゃんを私の側に縛り付けていちゃいけないと思ったの。

私にとって京が必要な人だったように、羽水社長にとっても早瀬ちゃんは必要な人で、側にいてあげなくちゃいけない人だと思ったから。

だからきっと、私が早瀬ちゃんの事を独り占めしてちゃいけない。」


早瀬ちゃんが、元々大きな目をもっと大きく見開いて、言葉を失ったようにただ立ち尽くす。


「私には事情はよく分からないけれど…それでも、どこか二人がすれ違ってる事くらい分かってる。でも、そんな二人を黙って放っておけないよ。」


私はずるい。


「私は京に何かを伝えたくても、話したくても、今はそれが出来ない。これから先も、正直いつ京と話が出来るかなんて誰にもわからない」


ここで京の話を持ち出す私はきっとずるい。

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