きっとこれは眠れない恋の証明。
早瀬美琴side
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久しぶりに羽水プロダクションのエントランスを潜った。
私が働いていた頃と何も変わっていない内装に、それほど時間もたっていないのに驚くこともないか、と心の中で呟く。
「あらっ、早瀬さん?」
「あ…お久しぶりです」
顔見知りの受付嬢にそう声をかけられハッとする。
「本当久しぶりですね!今日は羽水社長に会いに?」
「えっと…そう、です。面会の予約がしたいんですけど…」
自分でも恥ずかしいくらい歯切れ悪くそう答える。
「早瀬さんならいちいち予約なんて取らなくてもいいと思いますよー。今日は多分羽水社長、社長室にいらっしゃるし。あっ、今から直接取り継ぎますね」
「ええっ?あ、えっと…」
そううろたえている内に、いつの間にか羽水社長に内線が繋がっているらしい受話器を渡された。
(ど、どうしよう)