きっとこれは眠れない恋の証明。

自分で車を運転し病院を訪ね、受付で手続きを済ませる。

この一年の間、何度もこうして病院に通いつめているから、ここの看護師さん達とはもうすっかり顔馴染みになった。

いつもの道を通り、京の眠る病室に入る。

外に出れば雪がパラパラと降っていて凍りつくように寒いのに、病室の中はあたたかく、まるで別世界のようだ。

勝手に拝借していた京のマフラーを首から外し、そばのローテブルに丸めて置いた。


「外、今雪が降っててね、すごく寒いの」


そう言って京の手を握る。こうして眠っていても、その手は前と変わらずにあたたかかった。

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