きっとこれは眠れない恋の証明。

そんな二人もね、京がいつか絶対目覚めるって信じてくれてるの。

私も、ずっとずっと京の事信じてるよ。

お医者さんの言葉なんて聞いてあげない。

最初は、早く京に目を覚まして欲しいってそればっかりだったけど…。

私の為に急がなくていいからね。

寂しくて辛いけど、京がくれた思い出があるから耐えられるの。

京が目覚める未来があると思うと、それだけで救われるの。

だからこれから先も、私はずっと待てるよ。

京の事が、大好きだから。

京、私の事、助けてくれてありがとう。

生きていてくれてありがとう。」


口ではそう言うのに、自分の目からは大粒の涙が溢れた。それがやがて頬をつたい、京の腕に落ちた。

「あ…」

駄目だ。こんなんじゃ京に心配をかけてしまう。

泣いちゃ駄目、泣いちゃ駄目、泣いちゃ駄目。

そう思えば思うほど、鼻の奥がツンとして、涙が込み上げてくる。



こうして泣くのは久しぶりだ。
もう泣かないと決めていたから。

どうせ泣いても、もう京が私を慰めてくれない事に絶望して余計に悲しくなるから。

…過去の私が羨ましい。

嫌な事があって泣いていたら、京に優しく名前を呼んで貰えて、頭を撫でて慰めて貰えるから。

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