きっとこれは眠れない恋の証明。
✳︎
──奇跡だ。
京を担当してくれていたお医者さんも、他の看護師さんも、みんな口を揃えてそう言った。
銃で頭を撃たれ、偶然にも脳に命中せず大きな致命傷が無く即死しなかっただけでも奇跡なのに、昏睡状態からたったの一年で意識を取り戻すなんてとても信じられない、と。
「黒瀬さん…」
京が意識を取り戻したとの連絡を受け、すぐに駆けつけてくれた早瀬ちゃんは膝から崩れ落ちて泣いていた。そんな早瀬ちゃんを支える羽水社長の目にも涙が浮かんでいた。
私はというと、京の家族が病室に駆けつけるまで、京に泣きながらしがみついたままずっと離れられずにいた。