きっとこれは眠れない恋の証明。


「それにしても、さらっと店員さんに嘘つかなくたって…私もう今年で27だよ」

「え?」

「京、とぼけないで。いや、そうなんです。彼女、今年で大学を卒業するもので、とか嘘ついて、面白がってたでしょ」

そう言ってキッと運転席の京を睨みつけると、そんな私の視線を受け流すように肩をすくめられた。

「わざわざ芸能プロダクションの社長ですと訂正するのも面倒くさいだろう。良かったじゃないか、若く見られて」

「若くっていうか…」

2、3歳下に見られるのはまだ嬉しいけれど、そうも下に見られると若く見られて嬉しいというより、年齢に不相応で子供っぽいと言われているような気分になる。

自分が大人っぽい顔立ちをしていない自覚はあるが、27ともなればそろそろ大人の女性に見られたいというか、最近は大人の色気なんてものに憧れる。

少しだけシュンとしてしまったその時、手に持っていたスマホが着信音で震えた。
画面に、着信相手は砂川さんだと表示される。

ちょっとごめんねと京にことわり、電話に出てスマホを耳に当てた。

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