きっとこれは眠れない恋の証明。

「へぇ、黒瀬君て随分世話焼きなんだね。でもいくら秘書っていったって、中々そこまでしないよね」

「あ…やっぱり、そうですよね」

砂川さんの言葉が胸にささる。
私、確かに京に異常な負担をかけてる…。

「やっぱり二人って、ビジネスパートナー以上の関係だったりするの?」

そう尋ねられて、少しだけ答えに迷った。
確かに私達は社長と秘書という関係の前に小さな頃から一緒に育ってきた幼なじみだ。
それをビジネスパートナー以上の関係、というのならそうなのだろう。

「私達、実は幼なじみなんです」

「…へぇ、そうだったの」

元々は京のお父さんが私のお父さんの秘書をやっていた。親同士がビジネスパートナーな上に家も近所だった事もあり、京とはすぐに仲良くなって、幼稚園も小中高も同じ学校に通っていた。

京が大学を卒業してすぐの頃、京のお父さんが社長秘書を引退。かわりに京が私のお父さんの秘書となり、でもお父さんが倒れた事で私が跡を継いで社長に就任し…

そのまま京が私の秘書についてくれたという今に至る。
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