きっとこれは眠れない恋の証明。


「それなら納得がいくなぁ。黒瀬君、芝波さんの事すごく大切にしているように見えるし」

「そうですか?」

(大切に…か)

確かに、ぶっきらぼうだけどいつも優しくしてくれるし。
倒れた時は一晩中看病してくれたし、あの日からずっとご飯を作りにきてくれるし、朝だって電話で起こしてくれる。

大切にされているかどうかなんて考えると少しくすぐったいような気もするけれど、まわりからそう言われても仕方がないくらい充分な事をしてもらっているんだ、私は。

「そうだと思うけどな。…あ、着いたよ」

着いたよ、と言われて顔を上げた。

(…え)

「ええっ、すごく大き…というか一軒家ですか!?」

「そうだよ」

てっきり高級マンションか何かだと思っていたのに、一見何処のホテルですかというような立派な一軒家に目を見張る。
…ここは東京のど真ん中なのに。

家の中に案内されながら、元々は砂川さんのお爺さんのお家だったという事を聞いた。
言われてみれば確かに新しいような感じはしなくて、アンティーク風の素敵な洋邸だと思った。
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