きっとこれは眠れない恋の証明。

そう正直に答えると、ははっと砂川さんに小さく笑われてしまった。

──きっと仕事の相談があるんだと思う。

──どうだろうな。

昼のそんな会話が不意にふっと蘇る。


「黒瀬君ねぇ…。俺が興味があるのは、芝波さんであって君の秘書じゃないよ」

いきなり興味があるだなんて言い出した砂川さんに、何て返していいのか分からず思わず黙り込む。

(もしかして、これもからかわれてる?)

そういえば、今まで砂川さんとは仕事の話しかしてこなかった。

だから上手く距離感がつかめない…というか砂川さんがつかめない。

「ごめんね困らせて。
興味があるっていうのは…もっとプライベートでの芝波さんの事を知りたいって意味」

「えーっと…」

もっと君の事を知りたい、
と言うような台詞はかっこいい砂川さんが言うからきまってはいるけれど…それでも、何と返せばよいか分からないことに変わりはなく。
< 36 / 233 >

この作品をシェア

pagetop