きっとこれは眠れない恋の証明。

「あんまりそういう事言わないで下さい、女性の社員さん達に妬まれちゃう」

そう言ってごまかすように笑って返す。女性の社員さん達に恨まれそうだというのは本心だ。
砂川さんは実力のあるプロデューサーである上に、なんといっても顔が整っていて格好良い。

女の子に人気がある男の人はみんな、こんな感じで女の人の事をさらさらと褒めるものなのだろうか。

真に受けてはいけないと分かってはいても、戸惑ってしまう。結局残りの食事も、せっかく美味しいはずなのに上手く味わえなかった。

「芝波さん、お酒は飲める?」

砂川さんにそう聞かれ、お酒は大丈夫ですと断ろうとするのと同時にドアをノックする音が響いた。

ドアをノックする音が聞こえた後に、失礼します小町さんが部屋に入ってくる。
その手には、後で持ってきてくれると言っていたデザートはない。

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