きっとこれは眠れない恋の証明。

「あぁ、場所は芝波社長からメールで聞いておりました」

涼しい顔をしてサラりとそんな嘘をついた京に、
ずっこけてしまいそうになった。

私、メールなんてしていない!
内心でそう抗議するけど、それを口にすると色々とややこしくなってしまうのはわかっていたので、曖昧に笑って頷いておいた。

「明日芝波社長に早朝からの仕事が入ったので、迎えに来てほしいとの連絡は受けていないのですが、急遽迎えに伺いました。社長は朝がとても弱いので」

一応連絡はしたんだけど、と私の目をみて京がそう続けた。

携帯は一度も確認していなかったから気がつかなかった。
…というか京の言葉のどこからが本当なのか。


「早朝からの仕事か。それじゃあ俺がずっと芝波さんを拘束するわけにもいかないね」

砂川さんのそんな一言で今日はお開きとなり、
丁寧なはずなのにどこか失礼な態度の京の事を何度も謝りながら、小町さんに見送られて砂川邸を後にした。


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