きっとこれは眠れない恋の証明。
対談だなんて絶対無理。社長に就任して間もなくて、仕事を引き継ぐ事に精一杯なのに何か話せる事なんかあるはずもない。
そう泣きそうになる私に京が言う。
「何言ってるんだ。相手は了承してる対談を断るなんて感じ悪いだろ」
「うぅ、まぁそうなんだけど…」
「立派な事なんて言わなくていいから、相手を立てて謙虚なスタイルで行けばいいい。どうせキャリアだって何だって羽水の社長の方が上なんだから、対等に話せなくって当然だろ」
そう言われて、少しだけ肩の荷が降りたような気がした。
これ以上何か言っても、いい機会じゃないかと丸め込まれる事はわかっていたのでもう黙っておく。
──それより。
「早朝の仕事が入ったからって理由は分かったけど…それでもいきなり迎えに来るなんて」
そう言うと、京は少しだけ言葉に詰まったように黙り込んだ後に答えた。
「…お前は知らなかっただろうけど、砂川プロデューサーは女癖が悪い事で有名なんだよ」
「ええっ、そうだったの?」