きっとこれは眠れない恋の証明。
「そこまで言わなくたっていいでしょ、勝手に京が心配してるだけだもん」
「…どういう意味だ」
「家って言ったって別に二人きりだった訳じゃないし、何かされた訳でもないよ。ていうか別に何かあったりされたとしても、私もう大人だし、子供じゃないんだけど」
最後の言葉はほぼ強がりだった。
いつもいつも京に子供扱いばかりされて悔しい。
どうだと言わんばかりにキッと運転する京の横顔を見上げるけれど、京は前を見たまま返事もせず黙っていて、結局マンションの駐車場に着くまで気まずい沈黙が流れた。
そして、駐車場に着いた時。
エンジンを切り、京が扉を開けて車から出る。
私も出ようとシートベルトを外していると、助手席側のドアが京によって乱暴に開けられた。
(えっ?)
どこかの執事のように今まで京が車のドアを開けてくれたような事なんてない。
ていうかこれは開けてくれたというには乱暴な──…
「って…わぁっ」
一体どうしたんだろうとポカンとしていると、いきなり腕を掴まれてそのまま強く引かれた。