きっとこれは眠れない恋の証明。

「俺、小学生の時はすごく背が低くて、瓶底眼鏡かけてる重度の人見知りで凄く大人しい子供だったんですよ」

羽水社長がインタビュアーさんに話したそんな子供の頃の羽水社長は、確かに私の記憶の中の翔君だった。

「びっくりしました。
その、すごく変わられたから」

「背も伸びたし眼鏡もしてないですからね」

そう言って羽水社長が小さく笑う。
確かに小学生だった頃なんて随分昔の事だし、何年もたてば人の見た目も中身も変わる事は自然な事だと思うけれど、翔君は…羽水社長は変わりすぎな方だと思う。

未だに信じられない。

「最初対談の話を貰った時、相手は芝波プロの社長だって聞いて、もしかしたらとは思ったんですよ。芝波なんてありふれた苗字じゃないから。

それで急いで事務所のサイト開いて写真見て、確信しました。芝波さんに覚えられてる自信はなかったんですけどね。俺だけが一方的に思い入れのあるクラスメートの女の子だったので」

そんな羽水社長の言葉にインタビュアーさんが目を輝かせたのがわかった。
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