きっとこれは眠れない恋の証明。

「へぇ。でも、諦めてたっていうのはどうしてですか?」

インタビュアーさんのそんな質問に、抗議を申し立てたい気持ちで一杯になった。
そんな子供の頃の恋愛話なんてわざわざ掘り下げなくていいのに。

ていうかこれビジネス誌の取材の筈なのに、こんな話ばっかり広げてていいの?


「どうしてだろうなぁ、多分強力なライバルがいたとかそんな感じだったとは思うんですけど、どうだったかな。すみません、何しろ10年以上も前の事なので」

内心でそう焦る私をよそに、羽水社長は爽やかな顔で答えを返していた。

結局対談はそんな風に思わぬ方向に話が広がり続け、絶対に本来の話の筋とはずれたものとなっているに違いながった。


「今日はお二人のお話が聞けてすごく楽しかったです!是非また日が経ったら、今後の展開について教えてください!」


そんなインタビュアーさんの言葉で対談は終了した。
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