きっとこれは眠れない恋の証明。
「困らせてごめんね、芝波さん」
対談のセットが雑誌の編集さん達によって片付けられる中、羽水社長にそう言われた。
「事前に話しておいても良かったとは思ったんだけど、今日の方が対談が面白くなると思って」
そう言われて、確かにと納得した。
インタビュアーさんもとても満足そうにしていたし、面白いものになったのかもしれないと。
といっても今日は私と羽水社長との対談というより、なんだか合同インタビューのようなものだったと自分で反省する。
対談なのだから、私はもっとちゃんと喋らなければならなかった。
そんな後悔を顔に出さないように笑って返す。
「そうですね。でも私、ほんとにすごくびっくりしました」
「思い出してくれて嬉しいよ。それと、その敬語やめない?」
羽水社長のそんな提案に、すぐに頷けなくて閉口する。